米連邦地裁、赤道ギニアへ不法強制送還されたゲイ男性のアメリカ帰還を命令
2026年10月6日(火)、米アリゾナ州連邦地方裁判所のジョン・C・ヒンドレイカー判事は、エジプト出身の同性愛者であるアフマド・ソリマン氏(31)の身柄拘束を解除させ、米国へ帰国させるためのあらゆる必要な措置を講じるよう米国土安全保障省(DHS)に命じた。ロイター通信が報じた。公にゲイであることを公表している同氏は4月下旬、個人的・血縁的・文化的なつながりが一切ない中部アフリカの赤道ギニアへと即座に強制送還されていた。
ソリマン氏は4歳の時に両親とともに米国に移住し、永住権(グリーンカード)を保持してフェニックスで育った。2023年に暴行や薬物所持の有罪判決を受けたことで永住権を喪失し、退去強制手続きの対象となった。しかし米国の移民裁判所は、両親の反体制活動および本人の同性愛を理由にエジプトで拷問や生命の危険にさらされる明白な恐れがあるとして、国連拷問等禁止条約に基づきエジプトへの送還を明令で禁止していた。
それにもかかわらず、米移民税関捜査局(ICE)は、国外追放を加速させるドナルド・トランプ政権の「第三国送還合意」に基づき、ソリマン氏の司法申し立てが審理中であるにもかかわらず赤道ギニアへ送還した。首都マラボのバミー・ホテルで武装警備のもと他の送還者とともに収容されていたソリマン氏は9月初旬、地元警察から銃を突きつけられ金銭を要求された際の動画を記者に提供した。報道後、現地の治安当局はソリマン氏を拘束し、頭に袋を被せて殴打した上、ラ・ルナ憲兵隊施設で弁護士や食料、水のない隔離状態で拘禁した。
ヒンドレイカー判事は、連邦政府の措置が米国憲法修正第5条が保障する適正手続きの権利(デュー・プロセス)を著しく侵害し、回復不能な継続的損害を与えたと判断した。裁判所は、政府費用で渡航書類を発行して米国の入国地点へ搬送すること、および3日ごとに所在と健康状態を報告することを命令した。この判決は直ちに永住権を回復させるものではないが、審理を法的手続きに復帰させ、今後の送還に際しても迫害リスクの本格的な審査や真に安全な第三国への移送を義務付けるものとなる。
第三国への強制送還方針に対しては、人権団体や法学者から強い批判が寄せられている。司法制度の脆弱な国への移送は、米国の裁判所の禁止命令を回避して母国へと強制送還される「連鎖的追放」(チェイン・ルフルマン)の温床となるほか、送還者を恣意的な拘束や暴力にさらす恐れが指摘されている。
これまでにウラニアでは、スイス当局がロシアの迫害された同性愛者カップルの難民申請を却下した事例や、LGBT難民を支援するカトリックの取り組み、南アフリカにおける性的マイノリティ難民申請者の法的課題について報じてきた。


